特定非営利活動法人福島ダイアログ設立にあたって
特定非営利活動法人福島ダイアログは、2019年6月26日に法人としての承認を得、正式の設立の運びとなりました。

2011年3月11日東日本大震災とそれに引き続いて起きた東京電力福島第一原子力発電所事故によって、放射性物質の大規模な拡散が起き、日本国内に深刻な混乱と被害をもたらしました。この原発事故は、日本の歴史上初めての事故であり、またこれほどの規模での被害は、1986年旧ソ連で起きたチェルノブイリ原子力発電所事故以降の2例目となるものでした。
2011年11月、国際放射線防護委員会(ICRP)が主催し、福島県内で「ダイアログセミナー」と呼ばれる福島県内の関係者、そして専門家による会合が開かれました。これは、チェルノブイリ原発事故後の被災地となったベラルーシで行われた対話集会が被災地の復興に大いに有用であったという経験からヒントを得て、当時のICRP主委員会委員であった丹羽太貫氏を発起人とし、ベラルーシの対話集会を含む被災地支援活動を続けた同じくICRP主委員会のジャック・ロシャール氏の大きな力添えがあって始められたものでした。
ICRPが主催する形でのダイアログセミナーは2015年12月まで合計12回、福島県内で会場を変えながら行われ、福島県内の住民はもとより、国内外の専門家や県内外の一般参加者が継続的に集い、意見を交わす場となりました。
当初はICRP委員が主導する形ではじめられたダイアログセミナーでしたが、会を重ねるごとに、専門家色も徐々に薄れ、より地元の住民が運営にも積極的にかかわるようになりました。
2016年からは「福島ダイアログ」と名称を変え、ICRPの支援と協力を得つつも、地元側の任意の志願者と協力者を中心とする運営主体によって2018年までに8回開催され、その後も他の組織の協力も得ながら、現在も継続されています。
ICRPダイアログセミナーから福島ダイアログへと状況にあわせながら形式は変化させてきましたが、原発事故後の福島の状況に関心を持つひとびとが集い、現状を共有し、意見を交わす場を作るということは一貫してきました。 
これらの記録はほとんどすべて映像として残されていますが、一断面とはいえ、ダイアログという事故後継続されてきた活動を通して、東京電力福島第一原子力発電所事故以降の福島県内外の復興の状況を経時的に辿ることができる貴重な記録資料となっています。
時間が経過するに従って、積み重ねられてきた記録の量も膨大になってきました。また、事故から時間が経過したものの、避難指示が出た地域を中心に今後も復興には長期の時間がかかるであろうことが確実になってきました。
これまでの過去の記録を将来にわたって保管し、今後も安定的に事業を継続していくためには、法人組織の設立が必須であろうとの意見がダイアログの参加者から出たため、有志を募って法人設立の運びとなりました。

私たちの活動
私たちは、ダイアログの成果を引き継ぐと同時に、これからの復興の状況に柔軟にあわせつつ、ダイアログを継続していくことを活動の目的とします。

私たちの行ってきた「ダイアログ」は日本では馴染みのある形式の集まりではないかもしれません。なぜなら、この集まりによってなにかの問題に対して結論を出したり、続く社会的な行動を用意する「会議」ではないからです。ただ、原発事故後の福島の状況を知りたい、共有したい、聞いてもらいたいことがある、話を聞きたいという人たちが集まり、互いの言い分に耳を傾けあい、それぞれの考えを交わす、それだけの集まりだからです。けれど、立場や考えの違いによって生まれてしまった原発事故後の「分断」のなかで、互いの意見を共有することによって、その違いがなにに起因するのか、どのように違いがあるのかを探る試みは、事故後に変わってしまった暮らしを立て直し、いまだ変わりつつある私たちの未来を考えていく上で、目に見えない形で大きな力となることをこれまでの経験で知っています。


特定非営利活動法人福島ダイアログは、
  1. これまでの過去のダイアログの成果を継承し、次の世代へ引き継ぐ
  2. 互いの考えや状況を共有するためのダイアログを継続する
  3. 原発事故後、ダイアログを通じて培った国内、海外との交流を持続する
  4. 上記を地元の主体性によって行う
上記の事業を勧めていきたいと思います。
原発事故は、日本のみならず世界の歴史に残る大きな災厄でしたが、その経験をただ不幸なものとして終わらせず、福島を発信源として、経験を未来へ繋ぎ、あらたな価値を生み出す場として、社会に寄与することを目指したいと思います。

  この活動の趣旨に賛同してくださる方のご参加をお待ちしております。
 (入会方法については、こちらのページをご覧下さい。)

2019年9月29日
特定非営利活動法人福島ダイアログ 理事長 安東量子(鎌田陽子)