福島の未来をみんなで創る
大災害が起きれば、暮らしは大きな影響受けます。福島原発事故もそうでした。災害からの「復興」は、しばしば困難に直面します。
なかでも、どのような復興を目指すのか、どんな未来を創りたいのかを共有できないことが、難しさに拍車をかけます。
かかわる誰もが自分たちの復興だ、未来を自分たちで作っているんだと実感できることが、持続可能な復興にはなにより大切なことだと私たちは考えます。
原子力災害には特有の、長期にわたる放射能への対応も必要となります。
私たちは、誰ひとり取り残さない福島の復興のために、みんなで福島の未来を創っていくための、確かな対話の方法論に基づいた、対話のプラットフォームをめざします。
設立の思い
これまでの実績
福島ダイアログ(対話集会)では2011年の福島原発事故から、その時々の福島の復興で課題となっているテーマを取り上げて、継続的に開催してきました。事故直後は、食品の安全性について、子育てについて、避難指示が解除される時期は、避難指示区域での生活上の課題について、最近では、処理水の海洋放出について、若い世代が復興についてどう考えているか、などです。
地元住民だけでなく、国内外の専門家、行政関係者、さまざまな団体・組織に属する人などが一同に会して、互いの言葉に耳を傾ける公平な、透明性のある場を作ることによって、互いの状況を共有し、意思疎通のための潤滑油になると同時に、参加者がそこで新しい人間関係や考えを得て、次の一歩を踏み出すための足がかりを提供してきました。また、この成果は海外の参加者を通じて、国外へも広く伝えられ、国際的にも高く評価されています。
沿革
国際放射線防護委員会(ICRP)が、福島県内で「福島事故後の生活環境の回復に関するダイアログ」を開催。
現地で課題となっているのは、放射線への対応のみならず、福島県民のウェルビーイング(よく暮らすこと)であることを明確化。
この成功を受け、その後数年にわたり、ボランティア・グループ「福島のエートス(Ethos in Fukushima) 」の協力とともに開催を継続。
2012年7月 ICRPが、EIFの要請で原発近くの末続(すえつぎ)地区を訪問。末続地区とICRPの長期にわたる協力が始まる。
地元の有志がICRPの支援のもと、2018年まで8回のダイアログの開催。
福島ダイアログの開催はNPOに完全に委譲。
その後、コロナ禍のもとで、4回のダイアログを開催。また福島のエートスとICRPが2019年までかかわった末続地区との関わりを継続。
過去の記録はこちらからすべてご覧いただけます。
活動内容
福島事故から時間が経過し、復興の課題が複雑化すると同時に、地域や個人によって状況に大きな違いが生まれる一方、それが共有しにくくなっています。行政と関係者間、住民の連携や、事故後の経験の伝承も限定的です。意思決定の前提となる情報共有全般に課題があり、そのことが復興の進展にもかかわらず、閉塞感を生んでいます。
当NPOは、上記のような状況を改善していくために、NPOの理念に基づいて、以下の具体的な活動を行います。
- 年1回、秋に地域のステークホルダー(住民・関係者)の共通の関心をテーマとするダイアログを開催
- 復興分野で活動するNPO等と連携した現地での取り組み
- 実用的放射線防護文化や共同専門知(co-expertise)プロセスに関する助言と相談
- 学術論文やメディアを通じた福島の状況についての国内外への情報発信
- 国内外プロジェクトへの参画
- 海外のパートナー組織との交流
私たちのダイアログとは?
福島ダイアログの活動は、チェルノブイリ原発事故で被災した地域の生活再建の一環として、90年代から2000年代にかけてベラルーシで行われた実践的な方法論に基づくものです。
共同専門知(Co-Expertise)プロセス
専門家とステークホルダー(住民・関係者)が対話をしながら共に活動し、誰にでもみえるプロセスで、原子力災害後の復興で、地域の人びとの暮らしと科学知識をつなぎます。このことによって、実用的な放射線防護文化(放射線が残る被災地での現実に即した生活様式)が地域に根付かせます。
対話の方法論
1980年代にフランスで考案された、社会的に論争となっている課題をステークホルダー(当事者・関係者)間で話し合うための手法です。参加者のさまざまな考えを尊重する、ひらかれた議論をとおして、落ち着いた、実りある対話を行うことができます。
詳細はこちらをご覧ください:
https://dx.doi.org/10.14407/jrpr.2023.00136この2つの方法論は、被災した地域の人びとが、自分たちの安全と将来について十分な情報を得た上で意思決定できるようにすることを目的としています。
理事・監事 (2023-2024)
NPO法人福島ダイアログ理事会は、6名の理事と2名の監事によって構成されています。活動内容は、理事長の責任のもと、会員・賛助会員の活動参加メンバーに委ねられています。活動の方向性については、アドバイザリー・コミッティーが提言を行います。
正会員・賛助会員および篤志家の寄付金、活動から生じる財源、国、県、市町村、公的・私的団体から交付される資金および助成金、その他法律で認められた財源によります。
アドバイザリー・コミッティー
(2023-2024)
活動に関する意見交換や助言を得るために、国内外のメンバーで構成される助言委員会を設置します。
委員会は、諮問機関としての役割を果たすだけでなく、NPOの活動方針を共有し、NPOの活動に関心を持つ国内外の組織との連絡体制を確立し、維持します。また、他の国内・国際機関と共同で開発するプロジェクトのモニタリングに貢献します。
- アン・ニスベット(イギリス、HSA)
- イブ・ルールー(フランス・ANCLI)
- ジャン=クリストフ・ガリエル(フランス・IRSN)
- ピッパ・フェインシュタイン(カナダ)
- 五十嵐泰正(筑波大学)
- 後藤あや(福島県立医科大学)
- 松岡俊二(早稲田大学)