2023年9月5日~7日、フランス・パリのOECD本部で開催された第3回NEAワークショップ「ステークホルダー・インボルブメント:意思決定における最適化」にNPO法人福島ダイアログが参加しました。
ステークホルダー・インボルブメントとは、トップダウンや中央集権的な意思決定ではなく、影響を受けるすべての人々を巻き込んで意思決定を行うことです。複雑なリスク状況において実行可能な解決策を見出すために、欧米を中心に世界中で進められている動きです。
今回のワークショップは、NEAが主催した3回目のステークホルダー参画ワークショップでした。主な参加者は、各国の原子力規制当局、国際機関を含む研究機関、学術研究者などでした。今回の目新しい点は、NPO福島ダイアログのようなNGOを含む市民社会からの代表者が多数参加したことです。参加者は29カ国から約120人でした。
その中で安東理事長は、意思決定プロセスの第一段階である「問題提起の準備と枠組み、ステークホルダーの参加による全体的アプローチの開発」と題されたセッションで、本NPOの見解を述べました。彼女はスピーチの中で、関係者のコミットメントという観点から、ダイアログを特別で興味深いものにしているダイアログで得られた経験を強調して以下のように述べました。
「日常生活において、人々は何かを決定する際に様々な側面を考慮します。 普段の生活では、一つの側面だけで何かを判断することは不可能です。科学は重要ですが、それはひとつの次元に過ぎないことを心に留めるべきです。私たちにとってホリスティック・アプローチとは、日常生活のあらゆる側面を考慮することです。そのためには、長い時間をかけた議論、継続的な対話、つまりお互いの話を注意深く聞くことが必要です。 対話なしには、生活の途方もない複雑さゆえに、何も分かち合うことはできません。これがホリスティック・アプローチに不可欠な条件だと思います」。
ワークショップの最後に、NEAのマグウッド事務局長のご挨拶がありました。そのなかで、NPO福島ダイアログが、ステークホルダーの関心事を広い視野で 捉えることは、意思決定者がしばしば直面する複雑な問題を解決するために不可欠であることの重要性について述べたのは、ワークショップへの貢献であると言及されました。また、NEAが今後もNGOや市民社会と議論を重ね、ステークホルダーの参画を促進していくことも確認されました。
ワークショップ終了後、NGO参加者による小規模な非公式会合が開かれ、NGOや市民社会の参加者が交流し、ワークショップの感想を共有しました。このようなイベントには、できれば民間団体の支援も得て参加したいとの意見が出され、また、メーリングリストを立ち上げるなどして、今後もオンラインで連絡を取り合うことになりました。
最後に、今回のOECD/NEAワークショップに参加するための旅費と宿泊費を支援してくださったIRSNに心より感謝いたします。