3月12日 NHK「日曜討論 東日本大震災・原発事故12年 復興はいま」
2023年3月12日NHK総合「日曜討論・東日本大震災・原発事故12年 復興はいま」に理事長安東量子が出演しました。
福島の復興にかんする前半30分のパートで、出演者は、復興大臣渡辺博道氏、福島県知事内堀雅雄氏、福島大学教授川崎興太氏、NPO福島ダイアログ安東量子 でした。
ダイアログでこれまでにお聞かせいただいた地元の声をもとに、安東の考えをお話しいたしました。
日曜討論:今月の一本「2023年3月12日放送①いま福島から伝えたいこと~安東量子さん
概要は以下のとおりです。
1:福島の復興について
復興という言葉は氾濫しているが、復興の定義が定かでなく、どこを目指しているのかの共有ができていない。それぞれがバラバラのことを言っている、とダイアログでも多くの人が口を揃えた。
12年間ずっとやってきた。現場の活動としては、積み上げも実績も成果もあると感じているが、復興政策という面についていえば、失望しかない。私たちは「新しい福島」を生み出したくてがんばってきたが、現実に行われたのは、「たてわり・ばらまき・ハコモノ」の旧来の行政のあり方どおり。これが、私たちの目指してきた復興かという思いはある。
2:処理水について
メディアなどでは、すぐに「賛成・反対」とまとめられるが、地元では、「賛成・反対ともどちらともいえない」が多数ではないか。そもそもの問題として、「なぜ、このような決め方をするのか」という思いがある。水の問題は、事故直後からずっと課題になっていた。それをずっと放置しておいた上で、突然「政治決断」されたという経緯。放出するにせよ、そうした決め方そのものがいかがなものか、というところがある。
また、処理水の問題の根幹にあるのは、事故で大変な思いをしたのに、なぜこの上さらに大変な思いをしなくてはならないのか、という不遇感、不公平感。科学的に正しいかどうかの問題ではないし、また賠償でも解消しきれない。地元を交えて話し合うをする仕組みを作る必要があるのではないか。
3:帰還困難区域の避難指示解除について
ほかの方のお話を伺っていてもまったく生活の姿が見えてこない。「帰還をどう進めるか」という視点自体に違和感。生活する人にとってみれば、「幸せに暮らせるかどうか」「生活が幸せであるか」の方が重要。どれだけインフラを整備しても、幸せに暮らせなければ意味がない。その視点がすっぽり抜け落ちたまま、復興政策・帰還政策が進められていることに違和感。住民にしてみれば、戻る・戻らない以前に、「判断がつかない」という状態なのではないか。
4:地域活性化について
浜通りの将来は、廃炉の行く末に大きく左右されるのが現実。昨年のダイアログで、避難区域出身の若い方が「廃炉が大きく地域の将来につながっているにもかかわらず、それへの意思決定へ住民や地域がまったくかかわることができない状態が続いている。これは、自分たちで暮らしのコントロール、自律が取り戻せていると言えるのか。自律が取り戻せていないということは、自分たちの尊厳がないがしろにされているということではないか」と指摘。復興の大方針に、地域や住民がかかわることのできない状況がずっと続いている。上から落ちてくるばかり。それで地域の活性化というのは、難しいのではないか。
3月12日 日本経済新聞電子版「東日本大震災から12年 福島復興に必要な対話の場
福島の復興政策についてのインタビュー記事を掲載していただきました。網羅的な内容になっており、特に、原発事故が福島の女性にもたらした影響については、ほかに指摘されていない点ではないかと思います。(会員限定記事)
東日本大震災から12年 福島復興に必要な対話の場 – 日本経済新聞